嘉穂劇場  福岡県飯塚市飯塚5番23号


 大正11年1月、「中座」(嘉穂劇場の前身)が開場。昭和5年7月台風により倒壊、中座は解散した。
 それにより昭和6年2月嘉穂劇場として落成され開場。木造鉄板葺き入母屋造2階建。明治末期から昭和初期にかけて筑豊地方には多くの芝居小屋が建てられたが、現存するのは嘉穂劇場のみで、2002年3月には江戸時代の歌舞伎様式を伝える芝居小屋として飯塚市登録有形文化財の指定を受けた。
 炭鉱労働者の娯楽施設として繁栄し、石炭最盛期の1956年には公演年間343日を記録しているが、閉山とともに公演日数は減り、最近は年間30日程度だった。しかし現在、炭鉱を物語る貴重な文化遺産となった。
 JR新飯塚駅から歩いて約30分。遠賀川沿いにある。

(2004年8月4日撮影)

 松竹映画「男はつらいよー幸福の青い鳥」の中の一シーンで、フーテンの寅さんが「おばちゃん、通りすがりの者だけど、ちょっと中をのぞかせてもらっていいかな」とここ嘉穂劇場を訪れている。しかし現在、2003年7月の九州北部豪雨による水害をまともに受け休業、各方面からの支援を受け工事中であった。

(2004年8月4日撮影)

「筑豊の空に唯ひとつ 何も言わずにドッシリと 右にボタ山眺めつつ 遠賀の川を忍び見て 心の光弾きせながら 歴史を語る ああ ああ 嘉穂劇場」(嘉穂劇場援歌より)

 筑豊炭鉱の記録画を描きつづけた明治生まれの採炭夫 山本作兵衛(享年92歳)の記念祭が、昭和60年11月24日、ここ嘉穂劇場で催されたこともある。

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