韓国人徴用犠牲者慰霊碑 田川市伊田2734-1 田川市石炭記念公園

 この世に生をうけたものは、皆等しくその生を享受することができる。
 鳥は空に舞い、魚は水に遊び、命の限り生を楽しむ。まして、万物の霊長たる人間は、さらに言うまでもない。
 思えば、大韓帝国末期、日本は「日韓併合」の美名のもとに人道に悖(もと)る政策を断行した。特に第二次世界大戦が勃発するや韓国人の徴用、強制労働は、さらに苛酷なものになった。
 なつかしい故国と父母、妻子、兄弟、姉妹、親戚とも引き裂かれ、不慣れな風俗、人情の地、日本に強制連行され、戦争にかり出され、また、労役に苦しめられた。そして、ついには、夢寐(むび)にも忘れぬ父母、妻子、美しい故国の山河を二度と見ることもなく逝ったのである。
 されば極まり無い数多くの御霊の痛恨はいかばかりであろう。いつになったら晴れるであろうか。
 歳月は無情にも溢れ、はや四十有余年を重ね世の中は大きく変わった。しかし、この先いかに歳月を重ねようとし、この凄惨な事実が埋もれてしまうことがあってはならない。
 よってこの地に在住する同胞ここに集まり、ささやかながら、この石碑を建立する。
 否塞な国運と共に犠牲となった同胞の御霊を末永く慰め、再び不幸な時代を繰り返させぬよう戒めの標(しるし)とするものである。
 冥界(めいかい)の御霊よ、願わくばその恨みを忘れ給え。そして安らかにねむり給え。(同碑文訳より)

(2003年9月撮影)

 韓国人徴用犠牲者慰霊碑は、三井田川伊田坑跡である石炭記念公園を見下ろす丘の上に建つ。その両脇にはムクゲがある。
 ムクゲは韓国の国花である。「一度咲きその花が散っても再びその花を咲かせる強い生命力がある」というムクゲは、7月〜10月にかけて見事な花を咲かせる。その花言葉は「繊細な美、信念」とある。

(2003年9月撮影)

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